熊本市東区 コワーキングスペースMラボ

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フリーランスの実情とは?自分の適性を知ろう!

<背景>

 日本人の平均年収は長期的に下落傾向にあります。要因は様々ですが、要員の1つは世界的な経済・社会構造(グローバル化、労働環境、少子高齢化、競争激化等)の変化です。そのため、大きい企業に入り、高い給与を退職までもらい続けるという年功序列・終身雇用制は崩壊しつつありますし、この傾向がさらに進むことは自明です。

 さて、日本においても以前と比較してイノベーションを促進するという目的もあって、

 国の制度や政策も「起業、フリーランス(以下、「起業等」と言います。)」を後押しする体制の整備が進んでいます。さらに、「お金儲け」したいであるとか、「自由な働き方」をしたいである等といった理由から起業等により独立する人が増えています。しかし、事業が継続せずに辞めていく人が多いのも事実です※1。

<意義>

 上記を踏まえると、起業等に魅力があるとはいえ無責任に独立を薦めるわけにはいきません。そこで、(1)失敗や起業等の実情、(2)自身の適性を知ることが重要といえます。本記事の意義はここにあります。さらに、起業を進める側(それで儲かる人たち)のポジショントークは酷いものがあります。ポジショントークではなく、起業等の実情と適性を「多角的な視点」から「理論・データ・実務」から示すという点に新規性があります。

<目的>

 本記事の目的は、「起業等の実情」を知り、自分自身にその「適性があるか」を考えてもらう材料を提供することです。

<定義>

 フリーランスの定義は、「税務署に開業届を提出し、実態のある事業を行うこと」とします。

 起業の定義は、「登記を行い、事業実態がある法人を起こすこと」とします。

<構成>

 「1.フリーランスや起業の実情」では、起業等をする際に知っておくべき点を「開業者の属性」、「開業の動機」、「事業内容の決定理由」、「開業等の費用」、「事業の継続性」に分けて明らかにします。

 「2.フリーランスや起業家の適性」では、どのような人が向いているのか、向いていないのかを明らかにします。

 「3.フリーランスや起業したい場合どうすべきか」では、1.2.を踏まえたうえで起業等をしたい場合はどうすべきかを明らかにします。

 それから、「おわりに」でまとめつつ結論を示し、最後、「ソース・注」を示すことにします。

1.フリーランスや起業の実情


 1.では、「2019年度新規開業実態調査」及び「2019年度起業と企業意識に関する調査」結果の概要を使い、起業家等を取り巻く実情を明らかにします。

 一番多い開業時の属性は、「40代、大卒、男性、元正社員・管理職・20年程度勤務経験ありで自身の経験・スキル等を生かしたい人」であり、イメージ通りです。

(1)開業者の属性

①男女比

男:女=81:19

②開業時の年齢

29歳以下:4.9%

30歳代:33.4%

40歳代:36%

50歳代:19.4%

60歳以上:6.3%

③学歴

中卒:3.4%

高卒:29.7%

専修・専門・各種学校卒:27.1%

短大・高専:4.2%

大卒・大学院修了:35.7%

④開業直前の職業

正社員(管理職):38.3%

正社員(非管理職):32.1%

会社や団体の常勤役員:11.4%

非正社員:11.4%

⑤勤務キャリア

管理職:65.7%

経験年数:20年

(2)開業の動機

自由に仕事がしたかった:53.7%

仕事の経験・知識や資格を生かしたかった:46.6%

収入を増やしたかかった:46.4%

(3つまで回答可。多い順。)

(3)事業内容の決定理由

これまでの仕事の経験や技能を生かせるから:45.8%

身に着けた資格や知識を生かせるから:21%

地域や社会が必要とする事業だから:13.3%

(4)開業等の費用

500~1000万円未満:27.8%

250~500万円未満:21.8%

 なお、500万円未満で開業する割合は40.1%と調査依頼、最も高くなった。また、平均資金調達額は1237万円で、金融機関等からの借入は847万円であった。

(5)事業の継続性

月商

100万円未満:40.3%

100~500万円未満:45.1%

500~1000万円未満:8.5%

1000万円以上:6.2%

予想月商達成率

50%未満:8.5%

50~75%未満:14.8%

75~100%未満:19.9%

100~125%25.6%

125%以上:31.1%

つまり、予想月商達成率は56.7%である。

採算

黒字基調:63.5%

赤字基調:36.5%

 なお、黒字化にかかった期間は6.3カ月である。

 また、開業に対する満足度では、満足としている者が70.7%であった。しかし、収入においては、26.5%が満足と回答しているのに対して、仕事のやりがいにおいては、79.6%であった。

 さらに、開業前に比べて年収が「減った」人は41%で、「増えた」人は35.3%であった。

 なお、他の情報に関しては次を参照してください。


2.フリーランスや起業家の適性
 

 適性がある人と適性がない人の違いは何でしょうか。まず、言っておきたいのは、どちらが優れているというわけではないということです。

(1)適性がある人

①それを踏まえたうえで、2.のデータを踏まえると、「自由な働き方」を求め、「自身の技能・資格等の活用」したい

②「挑戦」と「野心」と「実行」が伴う

③新たなスキルアップや情報収集に貪欲

④自己責任=結果責任を受け入れる

⑤ビジネス志向がある

(2)適性がない人

①同じ仕事(内容)をずっとしたい

②安定が一番重要

③新たなスキルアップや情報収集等に余暇を削ってまでは行わない

④自己責任が嫌な人(当事者意識が希薄)

⑤ビジネス志向がない

3.フリーランスや起業したい場合どうすべきか


あなたの①「強み」や②「独自性」は何か?

③有望な市場はどこか?④有望な(旬及び長期的に存在・成長する)事業は何か?

また、⑤実行可能か(参入障壁、免許、資格等)

これは一般的な話です。

もう少し話をすすめると、①~⑤が全て重なる必要があります。

簡単なポイントを3点あげておきます。

①、②について

(ア)あなたの高校の学校で専攻(学んだこと)は何か?

(イ)職歴及び実際に行った業務は何か?

(ウ)興味・関心が強く続けられることで勉強(実践)していることは何か?

③、④について

(エ)市場の平均的な成長率・利益率(上場企業だけではなく、日本政策金融公庫が出している情報)

(オ)成長する分野・需給関係が有利か

(カ)構造的な要因(特に、人口減少と技術等の進歩)を考慮して有利か

⑤について

(キ)どんなにアイディアが優れていても実行可能でなければならず、免許・資格・許認可等の参入障壁についても調べる必要あります。

※2

おわりに


 このような情報を提供するブログ記事は少ない。しかも、理論・データ・実務の3点からアプローチしたものは非常に少ない。簡単に本記事をまとめて締めくくることにしたい。

①新規開業は厳しいが、チャンスはある

②開業には高い能力が必要不可欠

③開業適性の有無を踏まえる必要がある

④参入は自身の能力、経験等や市場が「重なる」分野が最適

⑤「理論」を知り、「エビデンス」を元に、「勉強」し、「計画を立て」、「実行し」、「絶えず改善し続けること」が必要不可欠

今後も、新規開業に関する記事を書いていきたい。

ソース・注
ソース

1)日本政策金融公庫総合研究所『2020年版 新規開業白書』佐伯印刷株式会社、2020年。

2)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23_1/Hakusyo_part3_chap1_web.pdf

(2020年9月2日閲覧。)

3)

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/html/i1220000.html

(2020年9月2日閲覧。)

※1:2020年版新規開業白書等参照。

(※2:https://super-strategy.com/2020/07/10/%e5%80%8b%e4%ba%ba%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e4%b8%bb%e3%82%84%e6%b3%95%e4%ba%ba%e3%81%ae%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%81%ae%e5%a7%8b%e3%82%81%e6%96%b9/ より引用。2020年9月2日閲覧。)