FIRE再考と私の提案ー自由・仕事・お金
私は、FIREに関する書籍に加え、ブログ、動画等を数多く見た結果、あることに気づきました。今回はこの私の気づきについて書きたいと思います。
なお、FIREとは「早期に退職して経済的自立を手に入れること」であり、FIRE=Financial Independence Retire Earlyの頭文字のことです。
気づきとは、FIREには向いている属性(人)がいる一方で、FIREに向いていない属性(人)がいるということです。詳細はこれから詳述しますが、結論を先取りすると、➀お金の心配がなく、➁自由でありたく、➂仕事は苦痛で避けたいと思う人にはFIREは向いているということでしょう。しかし、私が思うに、FIREの本質は、仕事の苦痛を避けたいというとです。この仕事の苦痛とは、仕事の質・量・人間関係が大きいといえます。さらに言えば、自由も仕事により奪われ、収入も低いという点もあげられます。
解決策の1つとして、例えば、投資により資産を築き、配当等で生活するというものがあげられます。何もしなくてもお金は入ってくるのでお金の心配はなく、自由であり、仕事はしなくても済むので仕事の苦痛も避けることができます。
これが一般的なFIREですが、FIREの本質から考えた結果、私は次のことを提案します。
会社員であるから仕事が苦痛であり、自由がなく、収入も高くはない。そうであるならば、会社員を辞めて、自営業や起業することが一つの解決策になる―そう思うのです。これから、その理由や想定される反論への再反論等を示していきます。
ここで、この記事での自由の定義を示します。自由とは、「選択肢が多く、拘束されにくいこと」と定義します。
まずは、既存の一般的なFIREへの批判について考えていきます。
・お金についてー運用益が必ず得られるか?(100年に一度の危機でも本当に耐えられるかは不明)
・自由についてー暇で逆に困るのではないか?(1年程度で仕事に復帰する人も多い。また、選択肢が多くてもあまり効用は増加しない。認知症にもなりやすい。)
・仕事についてー仕事を辞めるとアイデンティティがなくなるのではないか?(お金があるだけの人になる)
では、私の「独立しよう」という提案のメリット(主張)とそれへの反論・再反論を示します。
メリット(主張)
➀使用者等の搾取がなくなるため、稼いだお金は自分のものになる
➁節税等が容易であり、安定的な収入がほぼ一生ある
➂休暇の設定等が自由であり、ビジネスの種類によっては、時間と場所が自由
➃経営者やフリーランスには一定の尊敬の眼差しがある
⑤嫌な人とは仕事をしなくていい
⑥仕事量を調整できる
⑦苦痛ではない好きなこと、得意なことを仕事にできる
反論
➀会社員には定期昇給があり、毎月決まった額が振り込まれる安定性がある
➁定年退職ができる
➂有給休暇がある
➃会社によっては尊敬されるし、貧乏経営者らは尊敬されない
⑤嫌いでもお金くれる人とは付き合わないとやっていけない
⑥残業をすれば、残業代がでる
⑦適材適所であれば問題ない
再反論
➀解雇リスクや倒産リスクがあり、高付加価値人材でなければ転職も困難
➁メリットは一生働き続けることができることであり、働かない選択肢を取り、退職金をもらうことは十分可能
➂有給休暇は法人であれば可能であり、個人事業主はそもそも自由に働くことができる
➃会社員と経営者、すなわち、労働者と使用者という立場の違いは歴然としている
⑤一定程度儲かれば嫌いな人とは仕事をする必要がなくなる
⑥残業代で稼ぐよりもより高単価であるから、残業の必要性はなく、残業をするとしても会社員の残業よりもリターンが大きい
⑦人事には逆らえず、希望部署にずっといれることは極めて稀
一応、既存の一般的なFIREに向いている人についても示したいと思います。会社員であり、仕事自体が嫌いで、様々な趣味があり、本質的に怠惰であり、何らかのチャンス(例えば、ICO等)により大きな資産を得たという場合です。
しかし、陥穽があります。
そもそも、仕事自体が嫌い、かつ、多趣味、かつ、怠惰な人は大きな資産を手に入れることが宝くじに当たる並とまではいいませんが、極めて低い確率です。
逆にいえば、優秀な人は早期に退職して、私の今回の提案である独立を実施しています。そういう人は、FIREできる程度のお金を貯めることはできますが、逆にやりがいを求め、仕事を辞めません。
とはいえ、独立すればうまくいくというものではなく、一般的に大きな収入、自由、いい仕事を見つけるまでには2から3年程度必要であり、必死に努力する必要があります。
まとめ
‣仕事の苦痛を避けるためのFIREの代案として、「独立」を示しました。
‣独立には、「お金」、「自由」、「仕事」の面で多くのメリットがあります。
‣自分が自分に一番「責任と結果」をもたらす
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文章と知的レベル
ここでは、知的レベルを偏差値(理由は後で詳述)で表します。
知的レベルと好む文章の関係を考えていきたいと考える記事ですが、この類の調査をまず探してみることにします。
日本人の知的レベルは、国際成人力調査というOECDの調査をみると、日本は世界一位です。レベル別にみても、平均一位であるだけではなく、上位層も高い結果となりました。
調査は、読解力、数的思考力、ITリテラシーの全てが1位です。しかも、上位5%と下位5%の格差も小さいことも分かりました。
(参考)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/20220712-mxt_kouhou02-1.pdf
世界一の読解力を誇る日本です。
感覚的な話をします。というのも、偏差値・学歴別の活字調査は倫理的な問題からか、管見の限り見当たりませんでした。
偏差値 70~⇒ビジネス書等に加え、学術書、論文、古典等も
偏差値60~69⇒SNS、ネット記事や雑誌等に加え、ビジネス書等
偏差値50~59⇒SNSに加え、雑誌、ニュースサイト、簡単な本等
偏差値40~49⇒SNSがほとんど
偏差値 ~39⇒活字をほとんど読まない
周りを見ると、サンプル数はそれほど多くはありませんが、上記がかなり近いと思います。偏差値は大学偏差値ではなく、知的レベルですが、これは高校の偏差値に近いといえます。高校はほとんどの人が入学するためです。
なお、本記事の文体や表現からもわかるように、偏差値60程度を対象にしています。
次に、表現についてみていきたいと思います。
一例ですが、情報を調べたが見あたらなかったということを言いたい場合、表現は次のようになるのではないかと思います。
偏差値70~だと、
管見の限り見当たらない
偏差値60~69
調査したが見当たらない
偏差値50~59
調べたが見当たらない
偏差値~49
(調べないので、書かない!)
下記の文章の一部を書き換えてみます。
➀
知的レベルを偏差値で表します。
知的レベルと好む文章の関係を考えていきたいと考える記事ですが、この類の調査をまず探してみることにします。
日本人の知的レベルは、国際成人力調査というOECDの調査をみると、日本は世界一位です。レベル別にみても、平均が1位であるだけではなく、上位層も高い結果となりました。
調査は、読解力、数的思考力、ITリテラシーの全てが1位です。しかも、上位5%と下位5%の格差も小さいことも分かりました。
➁
知的レベルは便宜上偏差値で表記する。知的レベルと文章の選好の関連性を検討する記事であるが、最初に先行研究を明らかにしたい。
日本人の知的レベルは、OECD実施の「国際成人力調査」(以下、「本調査」という。)によれば、世界首位である。レベル別に比較した結果、平均が1位であることに留まらず、他国との比較において上位層も高水準であることが判明した。
本調査では、読解力、数的思考力、ITリテラシーいずれにおいても1位であったのみならず、上位5%と下位5%の格差も小さいことが明らかになった。
➂
知的なレベルを偏差値を使い表します。この記事では知的なレベルと好きな文章がどのような関係になっているかを考えていきます。
日本人の知的なレベルは、OECDという機関が行った国際成人力調査をみると、世界で1番であることが分かります。
レベル別にみても、平均が1位です。また、他の国と比べてみても上位層も高いレベルだと分かりました。
この調査は、読解力、数的思考力、ITリテラシーの全てで1位でした。さらに、上位5%と下位5%の格差も小さいことがわかりました。
書籍紹介『永守流 経営とお金の原則』
この本は、日本電産会長の永守重信氏の著書です。これから会社を興そうと考えている人、あるいは起業したばかりで奮闘中の若い経営者にぜひ本書を読んでいただきたい。と書かれています。
感想を一言述べておくと、時代の特殊性(労働環境等)や王道とは必ずしも言えないことがあるものの、ベンチャー経営者らに示唆に富むといえるということです。
本書の内容に入っていきましょう。
特に、経営と財務に対する事柄が書かれています。
まず、財務については、財務への無頓着が破綻を招くと書かれています。数字の把握やキャッシュの確保といった最悪の事態の対処法の想定や原則を定めておくことが欠かせないと著者は主張します。
さらに具体的には、バランスシートを頭に叩きこむことが大切で、「最後にカギを握るのはキャッシュ(現金)」というのが財務の原則であるとのことです。
経営に関しては、ベンチャー企業のトップが他人に委ねてはいけないものがあり、それは、マーケティングであると説きます。最大の落とし穴は「技術過信」であり、創業して間もない企業にとって大切なのは、技術よりマーケティングです。また、マーケティングには資金の回収まで含まれています。「回収は早く、支払は遅く」がキャッシュを重視した経営の基本です。
また、金融機関をパートナーにすることも重要です。金融機関から融資を引き出そうとする際にも、必ず数字の裏付けが必要です。金融機関を説得するのはすべて数字なのです。
著者は、キャッシュが企業価値のすべての源泉であり、様々な経営判断をする際の最も重要な基準であると主張します。売上より利益、利益よりキャッシュというのが財務の基本であり、経営の原点であると説きます。
「赤字は罪」と著者は公言してきました。社内では、売上高営業利益率で10%を基準にしていて、それ以下は赤字と判断しています。
成功を収めてきた永守流の経営手法が3つあります。それは、➀井戸掘り経営➁家計簿経営➂千切り経営です。
➀井戸掘り経営とは、たくさん掘るほど新しいアイデアがでてくるので、キャッシュを生み出すための新たなアイデアがでてくるまで、とにかく徹底的に掘り続けることが重要です。
➁家計簿経営とは、家計になぞらえて、危機時の経営手法を示したものです。経営状態が悪化した際に、経費を切り詰めることが重要です。
➂千切り経営とは、経営上の大きな問題も、小さくして考えれば解決できるというものです。
数ある財務指標の穴かで最も基本的なのは、自己資本比率ですが、創業期は自己資本比率にこだわるなと著者は主張します。ベンチャー企業の優先課題は、成長することです。
利益率も同様で、急成長する途上のベンチャー企業の場合、あえて赤字にしなければならない場合も生じてきます。それは、設備投資や研究開発などです。
企業が重視すべき経営指標は成長ステージによって変わってきます。創業後は5年おきぐらいに、どの財務指標を重視していくか基本方針を決めておくのが望ましいといえます。
さて、日本電産グループで今重視している指標は、キャッシュ・コンバージョン・サイクルです。これは、原料の調達から生産、販売して資金回収するまでの期間を示し、資金効率の指標を示すものです。
ここで会社を強くする永守流の3つの極意を紹介します。「ハンズオン(直接把握すること)」「マイクロマネジメント」「任せて任さず」です。
ハンズオンは経営者や管理職層が実際に現場に行ってやってみせることである。そして徹底して細かいチェックをするのがマイクロマネジメントです。任せて任さずは、現場や部下に権限を持たせても、完全には任せきりにせず、きちんと管理するということです。
損益計算書に関しては、人件費がどれくらいかかっているかが第一のチェックポイントです。次に、開発費です。また、バランスシートもあるべき姿を念頭に置いておく必要があります。
次に創業期のお金の集め方に移ります。
ベンチャービジネスを始める際に一番最初にぶつかるのは、資金の問題です。創業時の資金をどれくらい用意すればよいのだろうか。それは一般的には初年度の売上だを見通して、その12分の1に相当するくらいの資本金が必要です。
銀行選びでのポイントは支店長です。まずチェックすべきなのは任期です。通常2~3年で人事異動があるためです。できれば年齢が若い支店長がいるところがよく、若いほど新しいことにもチャレンジする意欲が高いためです。第2に相手が中小企業であっても親身になって相談に乗ってくれそうなところです。また、新設の支店などはねらい目です。
常に最悪の事態を念頭に置き、その場合にいったいどれぐらいのお金が必要かを考え、資金繰りで先手を打っておくのが重要です。
金融機関とどう付き合うかに移ります。
金融パーソンの5つのタイプがあると著者は主張します。
➀金貸しタイプ(お金を貸すと利息がいくら生まれるかを考え融資を判断)
➁失敗恐怖症タイプ(このタイプは相手が悪かったとあきらめるしかない)
➂サラリーマンタイプ(世の中の大勢に流されるタイプ)
➃ギブ&テイク型(融資の代わりに見返りを期待)
⑤使命感型(理想のタイプ。1000人に1人もいればといったところ)
金融機関は規模より「人」で選ぶことが重要です。また、すべてをオープンにする心がけが重要ですが、かつて銀行に勤める友人に聞いたところ、みな口をそろえて「一般的なことならなんでも話したほうがいいが、伏せておいた方がいい事実というものもある」と言っていたとのことでした。金融機関のメンツを考え「頭越し」は避けるのも重要です。
取引先を見極める方法に移ります。
不渡りを食らいえた教訓―「時間が大事」「取引選別」についてです。
まず、不渡りとは、約束した手形の期日に資金を用意できない状態のことです。
不渡りの経験で一つの方針を定めました。それは、一流企業の手形は絶対に割引に出さないという原則です。それは、窮地に陥ったときに資金繰りをつなぐ時間を稼ぐためです。問題のありそうな取引先から撤退させ、顧客を優良企業に絞るという方針を徹底させました。
さて新規取引は経営者自ら見極める必要があります。また、リスク分散のため、1社の取引は2割以下にする必要があります。
チャレンジとバランスに移ります。
経営にはリスクはつきものであり、成長に向けて必要なリスクはとる必要があります。ただし、最悪の事態になった場合は、どれくらいの損失になるのか、財務にはどれくらいの影響が出るのか、それらを事前に計算し、把握しておく必要があります。そのうえでリスクテイクをします。様々なケースに備え、絶えず手元の流動性を厚くすることは、会社を絶対につぶさないための財務戦略の一環といえます。
著者は創業以来ずっと「足元悲観、将来楽観」という考え方を基本にしていきました。これは今を悲観している限り将来は明るいという考え方です。
競合退社に勝つためにすべきことは顧客志向の徹底、具体的には「絶対にノーと言わないこと」「可能な限り納期を短縮すること」「得意先を頻繁に訪問すること」の3つです。
これ以降は、株式上場の話(法螺、夢、目標の3段階で将来の姿を語る等)、M&Aの話(成功の3条件である、「高い価格で買わない:EBITDAの10倍以下」、「ポリシー」、「シナジー」及びM&Aの8割がPMIであることのみ記載しておく)、海外展開の話(リスク分散等)であるため割愛したい。
ここで、日本電産の経営の原点である「三大精神」を紹介しておく。
「情熱、熱意、執念」
「知的ハードワーキング」
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」
最後に経営者のための10カ条を示して本書の紹介を終わりたい。
1ベンチャー経営者の資質を鍛えよう(➀繊細さ、緻密さ➁将来に夢を持てる➂自分にできないことは他人に任せる度量➃仕事好き⑤精神年齢が若いこと)
2なんでもするという覚悟を
3スペシャルマーケットを狙え(たとえ売値を高くしても高く買ってくれる客を探すこと)
4技術だけでは会社は伸びない(マーケティングが一番)
5基本方針は常に反芻・確認する
6創業後5年間の財務戦略は安全第一
7社員に数字感覚を植え付ける
8よきハンターはよき調教者になれ(人材面に関して)
9コスト意識を社内に徹底させる
10経営者としての倫理を守る
書評 古賀史健 『20歳の自分に受けさせたい文章講義』
本書は文章執筆の初心者~中級者向けに書かれている。私も様々な文章術の本を読んできたが、7~8割は類書で指摘されている内容を異なる表現で記したものである。内容は同じであっても、わかりやすい表現であるため、しっくりとくる人も多いだろう。
しかし、本書の2~3割は独自性のある内容である。
なお、この要約のまとめはあくまでも概要の一部だ。そのため、全体を理解したい場合、このリンク(見てみる⇒20歳の自分に受けさせたい文章講義)から買って読んでみてほしい。
本書の構成は、次の通りだ。
はじめに
ガイダンス
第1講 文章は「リズム」で決まる
第2講 構成は「眼」で考える
第3講 読者の「椅子」に座る
第4講 現行に「ハサミ」を入れる
文体とはリズムである。文体は、次の2つの要素で決まる。
➀文章の語尾に注目して「です・ます調」と「だ・である調」を使い分けること
➁「私」「ぼく」「俺」「著者」といった主語を使い分けること
リズムの定義やどうすればリズムが出るのか?を考える際に、リズムの悪い文章とは、「読みにくい文章」のことである。文と文の「つなげ方」や「展開の仕方」がおかしいとき、その主張は支離滅裂になり、リズムよく読めなくなる。文章のリズムは「論理展開」によって決まるのである。
それでは、どうすれば支離滅裂な文章を書かずにすむのだろうか?
まず大切なのは、自分の文章が論理破綻したことに、なるべく早く気づくことだ。
そして、論理破綻に気付くためのキーワードは「接続詞」である。みんなもっと接続詞を使うべきだ。
では、いったい「伝えるべきこと」とはなにか?
自分の意見こそ、「最大の伝えるべきこと」である。そして大切なのは”自分の意見”が完全な主観であり、感情だということだ。
書き手の側も聴覚的なリズムを気にする前に、「視覚的リズム」を考えなければならない。視覚的リズムとはなにか?わかりやすくいえば、文字や句読点が並んだときの、見た目の気持ちよさだ。
この「視覚的リズム」は大きく次の3つによって生まれる。
➀句読点の打ち方
➁改行のタイミング
➂漢字とひらがなのバランス
句読点についての明確なルールを設けている。それは、「1行の間に必ず句読点をひとつはいれる」というルールだ。見た目の圧迫感がなくなり、ひと呼吸おかせてくれる。物理的にはわずか半文字分ほどのスペースだが、視覚的にはとてつもなく有効なのだ。また、読点がどこに入るかによって、印象は大きく変わる。
次に改行のタイミングである。改行には「行間=横」の圧迫感を解消する役割がある。最大5行あたりをメドに改行したほうがいいだろう。
さて、漢字とひらがなのバランスに関して視覚的リズムの観点からいうと、漢字を多用した文章は第一印象が悪い。一方で、ひらがなにはひらがなの圧迫感がある。文章において引き立てるべきは、明らかに漢字だ。
視覚的リズムが整ったら、今度は聴覚的リズムである。自分の文章を音読する際のポイントは2つだけ挙げておきたい。
➀読点の位置を確認する
➁言葉の重複を確認する
まずは書いてみて、書き終えたあとに音読する。この「小さなひと手間」を通じて☐していくのがいちばんである。
文章にリズムを持たせるには、もう一つシンプルな方法がある。断定だ。言い切ってしまうことだ。しかし、断定の言葉はその切れ味の鋭さゆえのリスクが伴う。それでは、どうすれば断定という刃を使うことができるのか?
やはり、論理なのだ。断定する箇所の前後を、しっかりとした論理で固めるしかないのである。特に断定した箇所の前後2~3行には細心の注意を払おう。
「文体とは”リズム”である」という言葉について、ひとつ言明しておきたい。文体の妙、文章の個性、あるいは文章の面白さ。これらを決めているのは、ひとえに構成である。論理展開である。
「序論・本論・結論」には手っ取り早いお手本がない。そこでおすすめしたいのが、映画やテレビドラマなどの映像表現を参考にする、という手法だ。
➀導入・・・客観(俯瞰)のカメラ
➁本編・・・主観のカメラ
➁結末・エンディング・・・客観(俯瞰)のカメラ
➀の序論で語るのは、客観的な状況説明だ。これから本論でなにを語るのか、なぜそれを語る必要があるのか、世の中の動きはどうなっているのかなどを、客観的な立場から明らかにする。カメラはずっと高い地点から俯瞰で対象をとらえている。
続いて➁の本編で語るのは、それに対する自分の意見であり、仮説である。
そして➂の結論では、再び客観的な視点に立って論をまとめていく。
日常文(原稿用紙5枚以内に収まるコンパクトな文章のこと)だからこそ大切になる要素がある。それは導入部分の書き方だ。
導入の基本3パターンは➀インパクト優先型➁寸止め型➂Q&A型
➀インパクト優先型では、あえて冒頭に読者が「おっ?」と興味を惹くような結論を持ってきて、そこからカメラをロングショットに切り替えるのだ。
➁寸止め型では、核心部分は観客に想像させるのだ。
➂Q&A型はもっともオーソドックスである。面白味は少ないが、いちばん手堅い導入といえるかもしれない。
ここからはもっと文意に沿った論理展開のあり方を考えてみたい。
そもそも、論理的であるとは、すなわち「論が理にかなっている」ということだ。ここでの論とは主張、そして、理は理由と考える。
つまり、自らの主張がたしかな理由によって裏打ちされたとき、その文章は「論理的」だと言えるのだ。
➀主張の中には、➁理由があり、理由を支える➂事実がある。この3層構造が守られているのが、論理的文章なのだ。
主張が明確になることで文章全体が読みやすくなるのだ。文章は”面倒くさい細部”の描写によって得られたリアリティは、読者の理解を促し、文章の説得力を強化するのである。
図解・可視化により、「流れ」と「つながり」を明確にする。ポイントは随所に「なぜ?」を入れていくことだ。
ところで、文章量の目安は、「序論2:本論6:結論2」あたりが無難なところだと思われる。文字量は眼で数える習慣を作ろう。
では、読者をテーマに、「どう読まれるのか?」「どう読ませるのか?」について考えていきたい。
➀10年前の自分か➁特定の”あの人”(言葉のベクトルがはっきりするため、「その他の人々」にも届きやすくなる)を対象にする。
文章を書く目的は「読者を動かすこと」だ。説得するのではなく、納得させるのが重要だ。問題意識を共有し、当事者のひとりとして一緒に考えてもらうには、どんなアプローチが考えられるのか?
まず、必要なのは議論のテーブルにつかせることだ。議論のテーブルをセッティングするには、あなただけの”仮説”を提示することだ。文中の早い段階で、独自の”仮説”を提示する。一般論とは相反するような”仮説”だ。
起承転結ではなく、起”転”承結とするだけで、日常文でも大きな効果を発揮する。
冒頭に真逆の一般論をもってくるのがもっとも大切なのである。
具体的に考えられるのは次のような書き方だ。
まず、自分の主張とそれを支える理由や事実を述べる。そのうえで、自分の文章を客観的に読み返して、どんな反論がでてくるか考える。
論の展開に強引なところはないか?
誤解を招く表現はないか?
結論を急ぎすぎてはいないか?
そこで、文中に突っ込みが入り、そこに応えていくだけで読者の疑念は晴れていく。本格的な構成だと次のようになる。
➀主張
➁理由
➂反論
➃再反論
⑤事実
⑥結論
場合によってはあらかじめ反論を封じるような予防線を張っておくことも必要である。
もう一歩踏み込んで読者の「読書体験」について考えてみよう。
➀目からうろこ・・・「おおっ!!」「ええーっ!!」:3割で十分
➁背中を後押し・・・「そうそう」「よしよし」
➂情報収集・・・「ふむふむ」「なるほど」
最後に、推敲をテーマにしたい。編集こそが、推敲の基本なのである。編集には、2つの段階がある。書き終えたあとの編集と、書き始める前の編集だ。
何を書かないかを決める。文章の入り口には”元ネタの編集”という作業があるのだ。
推敲するにあたって、少しでも長い文章を見つけたら、さっさと短い文章に切り分けたほうがいい。その3つの理由は、
➀冗長さを避けてリズムをよくする
➁意味を通りやすくする
➂読者の不安をやわらげる
もしあなたが、接続詞の”が”を多用しているようなら、そこにハサミを入れられないか、あるいは別の言葉に言い換えられないか、考えるようにしよう。
推敲は1回ではダメ。2回は読み返す必要がある。
本書は文章を書こうと考えているほぼ全ての人にオススメだ。
見てみる⇒20歳の自分に受けさせたい文章講義
フリーランスの実情とは?自分の適性を知ろう!
<背景>
日本人の平均年収は長期的に下落傾向にあります。要因は様々ですが、要員の1つは世界的な経済・社会構造(グローバル化、労働環境、少子高齢化、競争激化等)の変化です。そのため、大きい企業に入り、高い給与を退職までもらい続けるという年功序列・終身雇用制は崩壊しつつありますし、この傾向がさらに進むことは自明です。
さて、日本においても以前と比較してイノベーションを促進するという目的もあって、
国の制度や政策も「起業、フリーランス(以下、「起業等」と言います。)」を後押しする体制の整備が進んでいます。さらに、「お金儲け」したいであるとか、「自由な働き方」をしたいである等といった理由から起業等により独立する人が増えています。しかし、事業が継続せずに辞めていく人が多いのも事実です※1。
<意義>
上記を踏まえると、起業等に魅力があるとはいえ無責任に独立を薦めるわけにはいきません。そこで、(1)失敗や起業等の実情、(2)自身の適性を知ることが重要といえます。本記事の意義はここにあります。さらに、起業を進める側(それで儲かる人たち)のポジショントークは酷いものがあります。ポジショントークではなく、起業等の実情と適性を「多角的な視点」から「理論・データ・実務」から示すという点に新規性があります。
<目的>
本記事の目的は、「起業等の実情」を知り、自分自身にその「適性があるか」を考えてもらう材料を提供することです。
<定義>
フリーランスの定義は、「税務署に開業届を提出し、実態のある事業を行うこと」とします。
起業の定義は、「登記を行い、事業実態がある法人を起こすこと」とします。
<構成>
「1.フリーランスや起業の実情」では、起業等をする際に知っておくべき点を「開業者の属性」、「開業の動機」、「事業内容の決定理由」、「開業等の費用」、「事業の継続性」に分けて明らかにします。
「2.フリーランスや起業家の適性」では、どのような人が向いているのか、向いていないのかを明らかにします。
「3.フリーランスや起業したい場合どうすべきか」では、1.2.を踏まえたうえで起業等をしたい場合はどうすべきかを明らかにします。
それから、「おわりに」でまとめつつ結論を示し、最後、「ソース・注」を示すことにします。
1.フリーランスや起業の実情
1.では、「2019年度新規開業実態調査」及び「2019年度起業と企業意識に関する調査」結果の概要を使い、起業家等を取り巻く実情を明らかにします。
一番多い開業時の属性は、「40代、大卒、男性、元正社員・管理職・20年程度勤務経験ありで自身の経験・スキル等を生かしたい人」であり、イメージ通りです。
(1)開業者の属性
①男女比
男:女=81:19
②開業時の年齢
29歳以下:4.9%
30歳代:33.4%
40歳代:36%
50歳代:19.4%
60歳以上:6.3%
③学歴
中卒:3.4%
高卒:29.7%
専修・専門・各種学校卒:27.1%
短大・高専:4.2%
大卒・大学院修了:35.7%
④開業直前の職業
正社員(管理職):38.3%
正社員(非管理職):32.1%
会社や団体の常勤役員:11.4%
非正社員:11.4%
⑤勤務キャリア
管理職:65.7%
経験年数:20年
(2)開業の動機
自由に仕事がしたかった:53.7%
仕事の経験・知識や資格を生かしたかった:46.6%
収入を増やしたかかった:46.4%
(3つまで回答可。多い順。)
(3)事業内容の決定理由
これまでの仕事の経験や技能を生かせるから:45.8%
身に着けた資格や知識を生かせるから:21%
地域や社会が必要とする事業だから:13.3%
(4)開業等の費用
500~1000万円未満:27.8%
250~500万円未満:21.8%
なお、500万円未満で開業する割合は40.1%と調査依頼、最も高くなった。また、平均資金調達額は1237万円で、金融機関等からの借入は847万円であった。
(5)事業の継続性
月商
100万円未満:40.3%
100~500万円未満:45.1%
500~1000万円未満:8.5%
1000万円以上:6.2%
予想月商達成率
50%未満:8.5%
50~75%未満:14.8%
75~100%未満:19.9%
100~125%25.6%
125%以上:31.1%
つまり、予想月商達成率は56.7%である。
採算
黒字基調:63.5%
赤字基調:36.5%
なお、黒字化にかかった期間は6.3カ月である。
また、開業に対する満足度では、満足としている者が70.7%であった。しかし、収入においては、26.5%が満足と回答しているのに対して、仕事のやりがいにおいては、79.6%であった。
さらに、開業前に比べて年収が「減った」人は41%で、「増えた」人は35.3%であった。
なお、他の情報に関しては次を参照してください。
2.フリーランスや起業家の適性
適性がある人と適性がない人の違いは何でしょうか。まず、言っておきたいのは、どちらが優れているというわけではないということです。
(1)適性がある人
①それを踏まえたうえで、2.のデータを踏まえると、「自由な働き方」を求め、「自身の技能・資格等の活用」したい
②「挑戦」と「野心」と「実行」が伴う
③新たなスキルアップや情報収集に貪欲
④自己責任=結果責任を受け入れる
⑤ビジネス志向がある
(2)適性がない人
①同じ仕事(内容)をずっとしたい
②安定が一番重要
③新たなスキルアップや情報収集等に余暇を削ってまでは行わない
④自己責任が嫌な人(当事者意識が希薄)
⑤ビジネス志向がない
3.フリーランスや起業したい場合どうすべきか
あなたの①「強み」や②「独自性」は何か?
③有望な市場はどこか?④有望な(旬及び長期的に存在・成長する)事業は何か?
また、⑤実行可能か(参入障壁、免許、資格等)
これは一般的な話です。
もう少し話をすすめると、①~⑤が全て重なる必要があります。
簡単なポイントを3点あげておきます。
①、②について
(ア)あなたの高校の学校で専攻(学んだこと)は何か?
(イ)職歴及び実際に行った業務は何か?
(ウ)興味・関心が強く続けられることで勉強(実践)していることは何か?
③、④について
(エ)市場の平均的な成長率・利益率(上場企業だけではなく、日本政策金融公庫が出している情報)
(オ)成長する分野・需給関係が有利か
(カ)構造的な要因(特に、人口減少と技術等の進歩)を考慮して有利か
⑤について
(キ)どんなにアイディアが優れていても実行可能でなければならず、免許・資格・許認可等の参入障壁についても調べる必要あります。
※2
おわりに
このような情報を提供するブログ記事は少ない。しかも、理論・データ・実務の3点からアプローチしたものは非常に少ない。簡単に本記事をまとめて締めくくることにしたい。
①新規開業は厳しいが、チャンスはある
②開業には高い能力が必要不可欠
③開業適性の有無を踏まえる必要がある
④参入は自身の能力、経験等や市場が「重なる」分野が最適
⑤「理論」を知り、「エビデンス」を元に、「勉強」し、「計画を立て」、「実行し」、「絶えず改善し続けること」が必要不可欠
今後も、新規開業に関する記事を書いていきたい。
ソース・注
ソース
1)日本政策金融公庫総合研究所『2020年版 新規開業白書』佐伯印刷株式会社、2020年。
2)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23_1/Hakusyo_part3_chap1_web.pdf
(2020年9月2日閲覧。)
3)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/html/i1220000.html
(2020年9月2日閲覧。)
注
※1:2020年版新規開業白書等参照。
(※2:https://super-strategy.com/2020/07/10/%e5%80%8b%e4%ba%ba%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e4%b8%bb%e3%82%84%e6%b3%95%e4%ba%ba%e3%81%ae%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%81%ae%e5%a7%8b%e3%82%81%e6%96%b9/ より引用。2020年9月2日閲覧。)